5月に始まったウィーン講座全3回シリーズ。大津留厚先生と大田美佐子先生お二方による豪華な講座です。今回は9月と11月に行われた第2回、第3回の様子をお伝えしたいと思います。

9月17日に行われた第2回は、なんと大田先生が牧落倶楽部サロンを、いや、日本を飛び出して、ウィーンから生中継でお話ししてくださるという臨場感溢れる講座でした。
まずはサロンで大津留先生のご講義、ウィーンは街の大改造を経て、都市として成長していった、というお話しをじっくりと興味深く聞かせていただいた後に、ウィーンの大田先生と中継が繋がりました。大津留先生のご講義の余韻に浸りつつ、食い入るように中継画面を見つめます(笑)。背景に映っている、ご滞在中のお部屋の白い天井が斜めになっていて、ヨーロッパを感じます。大田先生が事前に撮ってくださっていたウィーンの街の様子〜壮麗で、それでいてモダンな街並み〜にウィーンの今を実感できました。ほんのひととき、まだまだ暑い大阪を離れてウィーンへ!…が、ウィーンも暑いとのことで、なんだか親近感がわきました。

そして最終回となる第3回は、先生お二人のご講義と、さらに、左手のピアニスト有馬圭亮さんの演奏もあるといった贅沢で盛りだくさんな内容でした。

大津留先生のご講義は、映画サウンドオブミュージックがオーストリアでは放映されない、という議題が中心でした。日本でも人気のこの映画が地元オーストリアでどうして?と予想外のことにびっくりしました。結論から言えば、政治的な配慮からだそうです。オーストリアに住んでもいない限り見えてこない観点からの考察で、とても奥深いお話しでした。

大田先生はシェーンベルクについてのご講義でした。私にとってシェーンベルクというと、「十二音技法」を作った人だったような…?で、それって何なの??くらいな感じで、全く理解、興味の外でした。先生によると、シェーンベルクはいろいろな顔を持った非常に多才な芸術家だったそうです。人間シェーンベルクを知るいい機会になりました。

最後は有馬さんの演奏で、ゴドフスキーの組曲。古典舞曲で構成されており、あまり演奏される機会がないそうです。美しいがとても複雑で、聴く方も集中力を要する難曲でした。しかし有馬さんが深い理解を持って演奏してくださったおかげで、私でも最後までしっかり聴き入ることができました。有馬さんとゴドフスキーとの対話を目の当たりにしているような、趣きのある豊かな時間でした。

全3回の講座を通して、今まで憧れの遠い異国の地であったウィーンが、ほんの少し現実味を伴って捉えられたような気がします。そしていつか実際に訪れて、大田先生のお写真にもあった素敵なカフェで、ウィンナーコーヒーとアプフェルシュトゥルーデルをいただいてみたいものです。ありがとうございました。

都市の音楽史Ⅰウィーン 全3回シリーズ 第2回、第3回より