11月5日、”土屋友成ピアノリサイタル”が開催されました。土屋さんは国際的にご活躍中の気鋭のピアニストでいらっしゃいます。当サロンのピアニスト、有馬圭亮さんの知人で、そのご縁で今回のリサイタル開催の運びとなりました。有馬さん激推しのピアニストさんが来られるということで、私たちスタッフも、とても楽しみにお待ちしておりました♪

最初の曲目はベートーヴェンのワルトシュタインです。お馴染みの有名な曲ですが、始まった途端に「すごいっ!」とみなさんが息を呑む気配が感じ取れました。まず驚かされたのは何と言ってもその音。とにかく太くて力強くて豊かなのです。その響きが重なり、巨大なうねりとなってサロンは呑み込まれました。飾らない、朴訥とも言えるその演奏に、往時のベートーヴェン本人のワルトシュタインの演奏もこんな感じだったのでは…と思いを馳せてしまいました。まさに迫真の演奏でした。

次はショパンのピアノソナタ3番。こちらも言わずと知れた大曲です。ショパン特有の華奢で繊細な旋律も土屋さんの手にかかると、力強く情緒豊かに訴えかけてきて、いつまでも心に残る圧巻の演奏でした。ショパンの音楽の新しい一面を見たように思いました。

演奏後に土屋さんにお話を伺うことができました。他の誰とも違う、その唯一無二の演奏はどのようにして創り上げられるのか。一貫して自らの内から迸る音で、その音楽に深く潜っていくような演奏。それは安易に他者に迎合するのではなく、あくまでも自分が納得し、共感したところから生み出されるのだそうです。その曲と真摯に向き合い、自分の表現を探究する。自分の中で矛盾が全く無いから、潔く、強い説得力を持って聴衆に響くのでは、と考えさせられました。

演奏後のお疲れのところ、ご来場のお客さまや私たちスタッフに、このように演奏や音楽について気さくに話してくださった土屋さん。穏やかで、飾らないそのお人柄も素敵でした。余談ですがその土屋さんの帰り際の一幕です。牧落倶楽部のサロンには「ディク」という名前の番犬(犬のぬいぐるみ)がいます。すごく毛並みが良くてかわいくて、私は溺愛しているのですが、なんとそのディクちゃんのことを土屋さんが気に入ってくださり、写メまで撮って帰られたのです!!土屋さんって本当にいい方〜と、嬉しくなってしまいました。そんなキュートな(表現古くてすみません笑)一面もお持ちだからこそ、多くの人々を魅了する演奏ができるのですね。これからのより一層のご活躍を期待しております。ありがとうございました。

番犬ディク

土屋友成ピアノリサイタルより