2021年よりスタートいたしました牧落倶楽部 探求SERIES、昨年までは”ハプスブルク講座”全5回シリーズをお楽しみいただきましたが、今年2023年からは都市の音楽史です。各都市それぞれの歴史を紐解きながら、そこで育まれた音楽について聞いてみたいと思います。

今年は「ウィーン」をテーマに、昨年までの講座でも講師をしてくださいましたハプスブルク近代史がご専門の大津留厚先生と、音楽文化史・音楽美学がご専門の大田美佐子先生のお二人に全3回シリーズでお話しいただきます。

我々が現在「音楽の都」と呼んでいるウィーンはいつからそう呼ばれるようになったのか、そこではどんな社会と音楽との関わりがあったのか、ウィーンらしいと我々がイメージする音楽には一体どんな背景があるのか・・・などなど幅広く語っていただく全3回シリーズです。

 

§第1回 <18世紀~19世紀初/音楽の都ウィーンの成り立ち>

18世紀のウィーンの地図を手掛かりに、音楽や文化の担い手である宮廷の在り方やその中でどのような要素が音楽や音楽家に影響を与えたのかを探ります。
その中でどのように音楽家が集まり、その後どのように音楽が育っていったのか、皆様おなじみの作曲家や作品にも触れながら、なぜウィーンが「音楽の都」と呼ばれるようになったのかをイメージします。現在のウィーンの音楽界に繋がる土壌が垣間見えるに違いありません。

 

§第2回 <19世紀後半/現代に繋がるウィーンの街の姿と多様性>

この日はウィーン滞在中の大田先生とオンラインで繋いで当時と変わらないウィーンの街の今もご覧いただきます。
帝国の首都としてウィーンが持っている機能、そしてその中で展開されてきた「ウィーンの音楽」との関係を探ります。皆様が「ウィーンらしい」と感じる様々な音楽の特徴はどのような街の状況、社会情勢から培われてきたのでしょうか。軽やかさをまず思い浮かべる方も多いウィーンの音楽には人々の生活に根差した力強さがあります。その背景を探ってみましょう。

Ferdinand Opll/Martin Scheutz(Hg.), Die Transformation des Wiener Stadtbildes um 1700. Die Vogelschau des Bernhard Georg Andermueller von 1703 und der Stadtplan des Michel Herstal de la Tache von 1695/97, Wien: Boeler Verlag, 2018.

§第3回 <19世紀末~20世紀/世紀末に生きた音楽家の葛藤とゴドフスキーの作品>

世界大戦という大きな歴史の事件が起こってしまったこの時期、社会に生きる一員としての音楽家もその影響を避けることはできませんでした。そうした激動の社会背景にあって、旧い時代様式を守り続ける人々、新たな実験を通じて自分は何をすべきかともがく人々など皆がそれぞれの思いを抱えながら生み出された音楽があります。

左手のためのピアノ作品も多く生まれたこの時代、当然社会全体や音楽会での様々な要素とも深いつながりがあります。お話しの最後はそのようなことにも思いを馳せながらミニコンサートをお聴きいただきたいと思います。混沌とした時代に生きた作曲家の一人、ゴドフスキーの作品をお聴きいただく予定です。

  

【日時】
 第1回 2023年5月27日(土)14:00 ~(終了いたしました)
 第2回 2023年9月17日(日)14:00 ~(終了いたしました)
 第3回 2023年11月19日(日)14:00 ~
 ※第1回、第2回は講座のみ、第3回は講座の後に特別編としてミニコンサートをお楽しみいただきます。

【会場】牧落倶楽部サロン

【料金】1回券 4,500円/3回セット券 12,000円

【講師】大津留 厚・大田美佐子

【演奏】有馬圭亮(左手のピアノ)※第3回のみ

【お願い】
・サロンへは高校生以上の方にご入場いただけます。
・ご予約確定後のキャンセルはご遠慮下さい。
・感染症拡大の状況によりマスクの着用を必須とさせていただく場合がございます。

【プロフィール】

arima

講師:大津留 厚(おおつる あつし)

東京大学大学院社会学研究科国際関係論専攻博士課程単位取得退学。
大阪教育大学助教授、神戸大学教授を経て、現在、神戸大学名誉教授。
国際学修士。
専門はハプスブルク近代史。

講師:大田 美佐子 (おおた みさこ)

東京藝術大学音楽学部楽理科で音楽学を、学習院大学大学院人文科学研究科でドイツ演劇を学ぶ。 ウィーン大学大学院人文学研究科博士課程修了(音楽学)。ハーバード大学音楽学部客員研究員など。現在、神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授。専門は音楽文化史・音楽美学。
訳書にフランツ・エンドラー著 『ウィーンっ子によるウィーン音楽案内』(音楽之友社, 2002)など。2022年には多様な音楽劇の作曲家としてクロスオーバーに活躍した作曲家の評伝『クルト・ヴァイルの世界 ー 実験的オペラからミュージカルへ』(岩波書店)を上梓。

演奏:有馬 圭亮(左手のピアノ)

左手のピアニスト。1989年生まれ。2010年、大阪教育大学在学中に局所性のジストニアを発症し、左手のピアノ曲の演奏を始める。2012年より左手演奏の普及、復興を目的とする「左手のアーカイブ」プロジェクトにて、片手演奏のための教材制作や音楽教室「ワンハンド・ピアノレッスン」での演奏指導、学習者のためのワークショップを行う。2020年東久邇宮記念賞を受賞。現在は民族音楽を中心に地域の文化の研究、作曲にも取り組んでいる。

【イベント】5月27日(土)都市の音楽史(1)「ウィーン」