11/21、"牧落倶楽部探究シリーズ"として初の講座が開かれました。音楽の背景を知るということで、神戸大学名誉教授でいらっしゃる大津留厚先生をお招きして、ヨーロッパ史、中でもハプスブルク家について学ぶ講座がスタートしました。 今回は全5回シリーズの第1回目「戴冠式の風景」。ハプスブルク家のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフと美しい皇后エリーザベト(ドイツ語の発音では日本でお馴染みの"エリザベート"とは発音しないそうです)のハンガリーでの戴冠式の模様や歴史的な意味、その2カ国間の関係などについての講義でした。 私は以前から皇妃エリーザベトが大好きで何冊か本も読んでおり、うきうきと講座に臨んだのですが、私の 薄っぺらな知識では想像も及ばない高尚な内容でした。 プラグマーティシェ・ザンクツィオーン、アウスグライヒ、はたまたk.k.とk.u.k.とk.u.。私には謎の暗号にしか聞こえない用語も飛び出し、いつもは使わない脳の領域が活性化するのを感じつつ、大津留先生の格調高い講義は爽やかに進んでいきました。先生によると戴冠式にはなんとあのリストが出席していたそうです。ごく当たり前のことなのですが、リストは本当に生きて動いていた生身の人間だったのね…と実感でき、それが妙に新鮮でした。そういえばリストはハンガリーの人でしたね。 講座の後半は左手のピアニスト有馬圭亮さんのミニコンサートになっていて、リスト「ハンガリーの神」、 レシェティツキ「アンダンテフィナーレ」、バッハ「シャコンヌ」と、美しい音楽を通じてハプスブルク家の 時代にしばし身を置くことができました。曲間のお話の中で、音楽家の師弟関係の系譜を辿るとほぼ全員が リスト、レシェティツキに行き着くという説明がありました。そしてそのリスト、レシェティツキの先生は ツェルニー、その先生がベートーヴェン、そしてその先にバッハ、、、と遡ることができるそうです。 現代の音楽家もその系譜にどこかでつながっているそうです。もちろん有馬さんも!悠久の歴史の壮大な流れに感動を覚えました。 そうそう、つながると言えば今回牧落倶楽部ではサロン会場と並行して初のライブ配信も行いました。 私は超アナログ人間で、もはや原始人レベルなのですが、成り行き上スイッチャーという機械の担当になってしまい、ずっと緊張状態で講座を拝聴しておりました(笑)。しかし悪戦苦闘しつつも、この先にたくさんの方々がつながっていて聴いてくださっている…と思うと、とても不思議でわくわくしました。拙い配信でお見苦しい点も多々あったかと思いますが、最後までご覧くださった方々には心から感謝しております。 まだまだ駆け出しの牧落倶楽部ですが、音楽を愛する皆さまと少しずついろいろな形でつながっていることを 感じることができ、幸せなひとときでした。ありがとうございました。 追伸:来年から2回目以降も続々開講されます。大津留先生の穏やかで親しみやすいお話での講義、次回以降も 楽しみにさせていただいております。
第一回ハプスブルク講座「戴冠式の風景」より