4/24、牧落倶楽部サロンにて松浦愛美さんのピアノリサイタル「新たなる3大B」が行われました。’新たなる’3大B…。音楽の3大Bと言えば、バッハBach 、ベートーヴェンBeethoven 、ブラームスBrahmsが広くて知られているかと思われます。今回のリサイタルは三人目のBにバーバーBarberを持ってくるという松浦さん流3大B。最初にプログラムをいただいた時は、超難曲であるバーバーのソナタを取り入れられて、さすがは若手の実力派ピアニストさんだわ、と大きく頷いておりました。その後このプログラムに込められたもっと深い真意を知ることになるのですが…。

リサイタルはベートーヴェンのピアノソナタニ曲から始まりました。本場ドイツで研鑽を積まれただけあって、音楽の本質を捉えた、正統派の堂々たる演奏でした。重厚感のあるベートーヴェンらしい大きな音楽がサロンを包みました。その次はバッハのイギリス組曲第3番。こちらも説得力のある素晴らしい演奏で、トリルなどの装飾音が細かい一音一音までとても緻密で美しく、ため息ものでした。それもしっかり構築された土台があればこそなのだと納得でした。

そしてラストはバーバーのピアノソナタ。超絶技巧オンパレードのこの超難曲を美しい指で完璧に弾きこなされ、まさに圧巻の演奏でした。正確なタッチ、良く響く豊かな音で奏でられるその音楽は躍動感に溢れ、最後まで圧倒されっ放しでした。この曲の初演は1950年にホロヴィッツによってだったそうです。松浦さんは少し笑いを交えつつ、当サロンのスタインウェイで弾いたところホロヴィッツに近づけたように思う、との嬉しいお話をしてくださいました。
 ところではじめに3大Bの三人目をバーバーにした真意、、、と書きましたが、実は松浦さんはこの夏ニューヨークに拠点を移されるそうです。バーバーはアメリカを代表する大作曲家。この松浦さん流3大Bはアメリカでピアノを弾いて生きていくという強い決意の表れだったのですね。ホロヴィッツをはじめ多くの音楽家が暮らしたニューヨーク。日本、ドイツで培われた松浦さんの音楽に新たなる要素が加わることにより、さらなる飛躍を遂げられることと確信しております。

松浦愛美さんはこの写真の通りとてもきれいな方で、屈託のない笑顔がすごくかわいい、気さくな方です。そんな飾らない温かいお人柄も人を惹きつける演奏に繋がっているのだなぁ、と感じました。リサイタルはそんな松浦さんを囲んで、打ち解けた明るい雰囲気の中、幕を閉じました。ありがとうございました!

余談ですが、3大Bにもいろいろなご意見があるようで、交響曲好きの方々の中には三人目Bは断然ブルックナーBrucknerだと主張する方もいらっしゃるそうです。皆さんの3大Bはどんな感じでしょうか?ちなみにピアノを習っている小学生の息子に「3大Bはバッハ、ベートーヴェンとあと一人は誰でしょう?」とクイズを出してみたら、即答で「ブルクミュラー‼︎」。なるほど、それもアリだな、と妙に納得でした。

松浦愛美ピアノリサイタル~新たなる3大B~より